スペイン最優秀シェフから学ぶ、アンダルシアの伝統と革新──料理セミナー体験記(後日料理も再現してみました)
- Ayako Narisawa
- 7月10日
- 読了時間: 4分
先日、スペイン・アンダルシア州マラガ県から来日された、レストラン「Menade」オーナーシェフ、パブロ・ベガ氏の料理セミナーに参加させていただきました。

パブロ・ベガ氏は料理専門誌「Club de Gourmet」で「2023年スペイン最優秀シェフ賞」に輝いた実力派。セミナーでは、アンダルシアの伝統料理にモダンなアレンジを加えた珠玉の5品と、サプライズ料理1品をご紹介いただきました。
セミナーで紹介されたお料理
1. アホブランコ 〜エビとイチジク添え〜

アーモンドとにんにく、オリーブオイルなどでつくられる冷製スープ「アホブランコ」。スペインでは白ブドウと一緒に提供されることが多いのですが、今回はシェフのひねりで「イチジク」と合わせることで、甘みとコクのバランスが絶妙に。シェリービネガーの酸味がアクセントになっていて、洗練された一皿でした。暑さ疲れの体に染みわたる、元気が出てくるスープです。
2. 天然本マグロのトマトソース

マグロはアンダルシア産の天然ものを使用。かつては半日かけて作られていたという、伝統のトマトソース料理。玉ねぎを弱火でじっくり炒め、ローレルとクミンで香りを加えます。素朴ながら奥深い味わいが魅力でした。にんにくを皮ごとコンフィにしてからつくられたアリオリと、さいの目に切られたフライドポテトがよく合います。
3. サルモレホ 〜イチゴ、トロ、山羊のチーズ、バジル添え〜

アンダルシア地方の冷製スープ「サルモレホ」は、同じくスペインを代表するスープ「ガスパチョ」とよく比較されます。
ガスパチョには、昔ながらのレシピでは少量のパンが加えられることもありますが、現代ではパンを使わず、さらりとした飲むスタイルが主流。
一方、サルモレホはパンとオリーブオイルをたっぷり使い、とろみのある濃厚なポタージュ状に仕上げるのが特徴とのこと。
今回のサルモレホには、甘酸っぱいイチゴと濃厚なトロ、香り高い山羊チーズ、バジルが添えられ、伝統と革新のバランスが絶妙な一皿となっていました。特にイチゴの相性の良さには驚き!
ちなみにマラガ地方には「ポラ」と呼ばれるバリエーションもあり、こちらはパンが多め、オリーブオイル控えめというスタイルだそう。
4. イベリコ豚プレサのマリネ 〜インゲン豆のペドロヒメネス風味〜

酢、パプリカ、オリーブオイル、オレガノなどからなるマリネ液にイベリコ豚プレサを漬け込み、風味を染み込ませます。これは本来、食材の保存を目的として考案された伝統的な手法で、魚を漬けても美味しいとのこと。焼き目を付けた後、低温(約78℃)で火を通すことで、しっとりジューシーな食感が実現されていました。
5. トリハ 〜干しブドウのスープとローストアーモンド添え〜

スペインのイースター時期によく食べられるというデザート「トリハ」。パンを卵、ミルクなどに浸し、揚げてから甘いスープと共にいただくスペイン版フレンチトースト。干しブドウの風味豊かなスープと、カリッと香ばしいローストアーモンド、アイスクリームが添えられ、贅沢な味わいに。
サプライズ一皿:ミートボールのサンドウィッチ

トマトソースで煮込んだスペイン風ミートボール(アルボンディガス)をパンに挟んだ一品。SNSでも話題を呼んだ一品は、誰もが大好きな一品!ハーブがきいたミートボールの旨味とトマトソース、カリッと焼かれたパンが絶妙にマッチ。
伝統を大切にしながらも、そこに新しい解釈を加えることで、料理がさらに進化していく──そんなシェフ・パブロ・ベガ氏の哲学が随所に感じられる、非常に濃密なセミナーでした。
お声掛けくださった一般社団法人 全日本厨士協会様、大変貴重な機会をありがとうございました。
後日、さっそく教わったお料理を自宅で作ったのがこちら。

食材が足りなかったり、手抜きしてしまったりで、完全に再現できなかったのですが、
シェフの食材の組み合わせやコツが大きな学びになりました。
普段あまり使わないシェリービネガーやフルーツの使い方、肉の漬け込みなど
今後の食卓に活用していきたいなと思います。



コメント